Tarot book & cards

DEATH of Tarot book & cards

コード:なし
構 成:78枚
監 修:A・木星王
作 画:中島靖侃
出 版:大陸書房
発行日:昭和55年4月13日 10版

所感

 私にとって初めて目にした「13番(死・死神)」です。占師になれるかもとドキドキしながら手にしたデッキの1枚で、解釈のための要素がてんこ盛りの絵柄です。てんこ盛りすぎて、「これを全部覚えて理解しないと占師になれないのか」とがっくりし、その道を諦めたのは学生時代のほろ苦い思い出です。
 どのくらいてんこ盛りなのか、改めて見てみましょう。
 この絵柄、王様だった男の葬儀の場面です。城から遠く離れた、街の城壁の外側、それも大河を挟んだ荒野で、司祭が一応弔ってはいるものの、参列して嘆いているのは妻子らしき二人のみです。男のものらしき王冠は、誰にも引き継がれることなく、かつ男の頭に被せ直したり遺体の上に丁寧に置かれることなく、地に転がっています。そんな寂しい葬儀の場に、巨大な馬に騎乗した死神が来ています。馬は男を跨ぎ、死神は魔術結社の紋章の入った黒い旗を掲げていますが、鎧やローブを纏っていない骸骨姿です。この葬儀の背景には、大河を進む船や、明るい陽光を受ける街のシルエット、赤黒く染まる空もあります。
 王様だった男の死、彼のための葬儀、彼を迎えに来た死神だけでも充分「死」を描けていると思うのですが、転がり落ちた王冠や城塞都市から遠く離れた荒野の果て、不気味に暗い空、葬儀を無視して進む船もあることで、王様の死に物語性が加わります。どんな物語を組み立てるかは人それぞれでしょうが、私には「栄枯盛衰」とか「盛者必衰」といった熟語が連想される物語が浮かびやすいです。

 タロットと初めて出会った時から私も歳を重ね、知人や親族の葬儀に参列もしました。その経験からでしょう、「13番(死・死神)」を描くのは非常に難しいだろうなぁと、近年はさらに重々しく感じるようになりました。
 生きている人間には、「死」の実態が解らないからです。当たり前ですが、死ぬまで自分で死を経験できず、他人の死に様や葬儀を通して見たり想像したりすることしかできません。また、正解を知っている人も生者の中にはいません。こうして画像を見たとしても、葬儀への参列などの経験や誰かから聞いた話、伝説や神話、昔話などから得た知識に、タロットカードの絵柄とそこからの連想も情報として加えて、「死」に関する想像の幅を広げるのみです。
 だから、タロットカードの中でも「13番(死・死神)」の絵柄は、監修者や作画担当者によって様々にアレンジされますし、言い方は不謹慎かもしれませんが、私にはとても興味深く感じられます。
私が集めたデッキの分だけでも少しずつ紹介し、いろんな表現方法や世界観、死生観を一緒に味わっていただけると嬉しいです。

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